一般社団法人老人病研究会は、健やかな長寿社会を目指し、健康長寿Gold-QPD事業を実践する。


第2回シルバー・コースの研修実施報告
社団法人老人病研究会事務局

日程:平成23年9月10日(土)東京衛生学園専門学校4階実技室(東京都大田区大森北)
平成23年9月11日(日)舞浜倶楽部新浦安フォーラム2階大教室(千葉県浦安市高洲)

シルバーコースの目的:

ブロンズコースで西洋医学に認知症を理解した合計28名の受講者が参加。目的は所定の治療穴、所定の鍼灸手技をマスターすることにある。さらに認知症患者さんの接遇法をマスターしMMSE、ADL検査測定を習得する。全国規模で一致の治療法によりその効果を発揮し、西洋医学的評価法でデータ収集を試みることである。


第1日目

開会の辞

社団法人老人病研究会の川並汪一会長より、「今年の1月と2月に開催された第1回シルバーコース修了者はゴールドコースに入っている。協力が得られた鍼灸専門学校クリニック、医療機関、高齢者入居施設等と連携し認知症患者の鍼灸施術を実施し症例を重ねている。早い機会に認知症Gold-QPD資格認定証の取得を目指している。社団法人老人病研究会としては、皆さんがトレーニングしやすい環境作りを支援していきたい」との内容の励ましの開会の辞があった。

開会の挨拶をする
川並会長

 

研修内容

1)一コマ目(90分):

兵頭明先生の解説と渡辺明春先生(東京衛生学園所属のGold-QPD育成講座・リーダー)の実技指導が行われた。

  • 韓景献式三焦の鍼法(認知症治療)穴の取穴の実技で、二人一組となり足三里、血海、外関など16カ所に経穴シールを貼り部位を確認した。
  • 基本補瀉手技とは鍼の捻転角度と速度を身に着けることで、渡辺先生が捻転補法、捻転瀉法、平補平瀉法の手本にもとづき二人一組で鍼の施術法の指導を受けた。

治療穴の取穴実習
指導は渡辺講師



2)二コマ目(90分):

認知症の認知度はMMSEテスト(mini-mental state examination)と日常生活動作能力の評価にADL検査(Activities of daily living)を採用した。中西憲幸氏(社団法人老人病研究会理事)の講師を受けさらに実践トレーニングをした。 MMSEテストは、類似する長谷川式テストをDVDで勉強し実際にロールプレイングを行った。11問の質問で、満点30点中24点未満から軽度認知症と判断される。ADL検査は、食事・更衣・移動・排泄・入浴などの行動能力を評価するものであり、各々の動作毎に、正常は10点、問題があれば程度に応じ採点(7,5,3,0点)し総得点で評価する。ほとんどの受講者にとり初めての体験であったが熱心に勉強していた。講義を受けた後、これらの項目の理解度について試験が行われた。

MMSEテスト、
ADL検査を解説する
中西講師



3)三コマ目(90分):

韓景献式三焦の鍼法の手技をマスターするためのトレーニングを行った。

  • 韓景献先生が天津中医薬大学第1付属病院で施術しているDVDを視聴しながら、患者の病状の改善や家族の表情などについて、兵頭先生から解説がなされた。
  • 刺鍼実技評価機器を用いた受講者全員の施術評価が行われた。特殊な機器に設定された鍼に捻転を加えると、コンピュータ処理により波形がスクリーン上にリアルタイムで描出された。捻転の速さ、深さ、安定度などが計測され、一人一人の手技に対する評価や改善点が指摘された。



4)四コマ目(90分):

牧田・中医クリニックの植松秀彰先生(Gold-QPD育成講座・鍼灸教育リーダー)が刺鍼実技トレーニングを受け持ち、所定の時間内で施術ができるように各人が指導を受けた。約5分で全ての経穴に施術できることが求められ二人一組で真剣に取り組んだ。

時間内に施術を
すべく真剣に取り組む



以上1日目は、かなりハードな研修内容で受講者も相当疲れた様子であった。最後に國島修社団法人老人病研究会副会長から、ねぎらいの挨拶があり1日目が終了した。


第2日目

1)会長挨拶:

実際の現場でどのように認知症高齢者に関わって信頼を得るか、対応方法など認定鍼灸師としてのスキルの向上に現場での体験を生かしていって欲しいと会長からの挨拶があり、グスタフ舞浜倶楽部総支配人から倶楽部の経営方針や実情などが紹介された。
佐藤新浦安フォーラム施設長から施設の詳細な説明、本日のプログラムの説明があった。
現場体験に当たっては認知症高齢者へのストレスを出来る限り少なくするため、富士見サンヴァーロ、新浦安フォーラムの両施設を利用し、7つの小人数グループに編成し交代で担当スタッフと一緒に現場に移動し体験活動を行った。



  • 舞浜倶楽部 正面

  • 玄関
    コンシェルジェ デスク

  • 佐藤施設長


2)座学:

小グループによる午前中の体験活動後、午後からは座学講座が行われた。
グスタフ総支配人から認知症ケアの理念と現在舞浜倶楽部で実施されている実情と成果とまた欧米ケア先進国での例などが紹介された。
加藤富士見サンヴァーロ施設長からは、認知症について長い介護施設での経験をベースに認知症全般の説明とケア―についての注意点などの説明があった。



  • グスタフ・ストランデル総支配人

  • 加藤施設長


3)現場スタッフによる体験談

現場スタッフと受講者がブンネ楽器を手に取って合奏し、認知症高齢者の緩和ケアに効果的な手法である事を実感した。
タクティール・ケアも受講者が被験者となって現場スタッフからケアされる実体験を体験した。
新宮コンシェルジェからは、コンシェルジェの日常を具体的な活動を聞く事が出来た。コンシェルジェが舞浜倶楽部でのケアに大きな役割を担っている事を知った。入所者から難しい依頼があっても「はい、かしこまりました」と先ずはお受けすることが重要であること、そして担当スタッフと協力して実際に対処していくこと、入所者との信頼関係とコミュニケーションに大きな力を発揮していることを学んだ。

現場スタッフの体験談




  • ブンネ法音楽ケア

  • 新宮コンシェルジェ

  • タクティール ケア


4)受講者と討論

川並会長が座長となって講師(全5人)が並び受講者との討論が行われた。國島副会長、 兵頭、廉隅、グスタフ、加藤の諸氏から、それぞれ2日間の実習所見が述べられ、受講者からも研修での感想や質問、コメントが活発に交わされ、今後の大きな成果が期待された。


受講者との討論

5)終了証授与・閉会

最後に川並会長から受講者全員に終了証が授与され記念撮影を行った。 國島副会長からは、この経験を現場で早速活用して治療に役立てて欲しいとの労いと期待の閉会挨拶があり第2回目の育成講座シルバーコースが終了した。



  • 終了証を授与

  • 記念撮影



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